「ソードの王女(Princess of Swords)」の意味・解説 <トート・タロット>
エレメント:風の宮の地
占星術:対応なし
生命の樹:マルクト(王国)
ソードの王女は、ワルキューレ(北欧神話の戦場の女神)、ミネルヴァ(ローマ神話の知恵の女神)、アルテミス(ギリシャ神話の狩猟と月の女神)の特徴を帯びている。
かぶとの羽飾りは、蛇の頭髪を持つメドゥーサで、怒りと復讐の感情を表す。
天と雲は、王女の故郷であり、何者かによって祭壇は壊されてしまったのである。
彼女は、神聖を汚されたことに怒り、復讐するかのように、剣を振りかざしている。
もうもうとした雲や煙は、心が激しくかき乱されていることや、無駄な思考をも表す。王女はそうした心の雲を、剣で払いのけているのである。
対応する易の掛は、「山風蠱」。
掛辞「願い事は大いに叶う。大事を行ってもよい。三日前に用意をし、三日後には終結するよう迅速に腐敗を取り除くことだ。」
表面上は良くても、内部には膿が溜まっている。腐敗したものは早急に取り除くべきである。
キーワード:
論理的・聡明
怒り・復讐・攻撃的・葛藤
etc・・・
「ワンドの王女(Princess of Wands)」の意味・解説 <トート・タロット>
エレメント:火の宮の地
占星術:対応なし
生命の樹:マルクト(王国)
ヘブライ文字のヨッドの形に燃え上がる炎の中を、裸の王女は踊りながらその流れに身を任せている。
彼女は、雄羊の頭で飾られた金色の祭壇に仕える女司祭である。
雄羊は、白羊宮の象徴であり、春の火を表す。
王女の頭から長く伸びたダチョウの羽飾りは、真理と正義の女神マアトの象徴であり、「公正の精神」を表す。
そして、太陽の円盤を先端に付けたワンドは、明快さと単純さを示す。
王女の首には、虎の尾が巻きついている。
その虎は、まるで王女にエネルギーを吸い取られて死んだかのように、なすすべもなく彼女に従っている。
※ちなみに、虎はディオニュソスの聖獣である。
対応する易の掛は、「27、山雷頤」。
掛辞「養い方が適正であれば、吉。養う目的を見定めて、それに応じたものを自ら正しく求めるべきである。」
言葉を慎むことで徳を養い、飲食を節制することで体を養うのである。
つまり、何事もほどほどに、ということだ。
キーワード:
活発・利発的・大胆不敵・野心・向上心
感情の起伏が激しい・ 癇癪持ち・浅はか
etc・・・
「ワンドの王子(Prince of Wands)」の意味・解説 <トート・タロット>
エレメント:火の宮の風
占星術:蟹座21度〜獅子座20度
生命の樹:ティファレト(美)
ワンドの王子は、炎の海の中の戦車を走らせている。
王冠には、翼の生えた獅子の頭が付いており、
上に向かって光が放射され、下に向かって大きな炎が、垂れ幕のように下がっている。
そして彼は、儀式用のフェニックス・ワンド(力とエネルギーを示すワンド)を右手に持っている。
左手には手綱を持ち、火の聖獣である獅子の動きをコントロールしている。
彼の胸についている印は、「メガ・セリオン」のものであり、それは「大いなる野獣」という意味を持つ、クローリーに与えられた魔術師名である。
この王子の特質は、力強い熱狂的なエネルギーである。外向的で激しく行動する点は、「ワンドの騎士」と共通している。しかし王子はまだ若くて経験不足であり、目的意識がはっきりと固定化されていない状態である。
彼は、創造エネルギーがあり余っていて、熱狂できる対象を探している。
この王子の大きな欠点は、プライドの高さだ。心が狭く、人への侮蔑心を抱えている。
ネガティブな性質が強まると、衝動性が残虐性を生み出したり、動きや意識が性急になったりする。
クロウリーは、彼のアセンダントを支配するこのカードを、自分自身の性格に重ねていた。
対応する易の掛は、「42、風雷益」。
掛辞「進んで行動して利がある。大事を行ってもよい。」
善はただちに学びとり、過失があればただちに改めることである。
キーワード:
情熱的・熱狂的・とりあえず即行動する・活動的・力強い
残酷・プライドが高い・目的がない・性急
etc・・・
「ワンドの女王(Queen of Wands)」の意味・解説 <トート・タロット>
エレメント:火の宮の水
生命の樹:ビナー(理解)
このカードの特徴は「宗教的陶酔」である。
女王の持っているワンドは、テュルソス(ディオニュソス信者の女性が持つ、松ぼっくりを頭部とする杖)である。
ヒョウはディオニュソスの聖獣であり、誇りと自尊心のシンボルでもある。
「ヒョウの背に乗るディオニュソス」
そして、ディオニュソスの女性信者のことを「マイナス」という。
「豹に乗ったマイナス」
(ウィリアム・アドルフ・ブグロー、1855年)
ワンドの女王は、胸の奥深くで生まれた神秘に心を奪われ、恍惚の表情を浮かべている。
この女王の持つ特質は、静かなる権威だ。
ワンドの騎士の力を受け取り、内面で熟成させて放出する。
騎士と同様に強い自我があり、従順さとは無縁で、常に主導権を握らなければ気が済まない。しかし、思いやりと寛大さはあり、友情や愛情に厚いのだ。
対応する易の掛は、「17、沢雷随」。
この掛のキーワードは「従う」。
およそ天下万般の事は、人に従って行うときには、その事業は容易である。
そして容易であればこそ、成し遂げられるものである。
つまり、我を通そうとせず、柔軟に事に対処せよという啓示である。
キーワード:
情に厚い・リーダーシップ・官能的・穏やか・安定・満足・達観
狂信的・プライドが高い・威圧的・強情・横柄(おうへい)
etc・・・
「ワンドの騎士(Knight of Wands)」の意味・解説 <トート・タロット>
エレメント:火の宮の火
生命の樹:コクマー(知恵)
ワンドの騎士は、「火の宮の火」を象徴する。
勢いよく飛躍する黒馬に乗っている騎士は、甲冑で完全武装し、そのかぶっている冑(かぶと)には、小さな黒馬の装飾がついている。
騎士は、激しく燃える松明を左手に持ち、進行方向を明るく照らし、
右手では手綱をしっかりと握りしめ、黒馬をコントロールしている。
アーサー・エドワード・ウエイトは、騎士のカードでは、馬の様態がその騎士の精神の内面を表すと述べている。
マントの内側からは勢いよく炎が燃えあがっている。
彼は、進行方向を妨害する物事を焼き払って直進するために、火のエネルギーを放出しているのだ。
火のエレメントは、情熱と直感を表す。
騎士は、どちらに向かっていくべきか直感的に気づき、情熱をほとばしらせながら猛進しているのだ。
対応する易の掛は、「51、震為雷」。
掛辞「願い事は叶う。雷が鳴り響くとビクビクと恐れ驚くが、治まると安心して笑い声が起こる。雷は百里四方に鳴り響いて驚かす。しかし、祭祀(さいし)を行う人は、さじや酒を驚いて落とす事はない。」
しきりに雷の鳴る様が震である。勢いがあるが調子に乗りすぎてはいけないという戒めもある。
キーワード:
活動的・勇猛果敢・情熱的・猪突猛進(ちょとつもうしん)
衝動的・焦り・せっかち・激しい・周りが見えない
etc・・・
「カップの騎士(Knight of Cups)」の意味・解説 <トート・タロット>
エレメント:水の宮の火
生命の樹:コクマー(知恵)
カップの騎士は、「水の宮の火」を象徴し、水が火で熱せられて沸騰するように、感情がほとばしって情熱的になっている状態を表す。
輝く大きな翼は、飛躍する馬の姿勢とともに、水のエレメントの活動的な面を示している。
右手で掲げる杯からは、水象星座の活動宮である蟹座の象徴で、攻撃性を司る、カニが飛び出している。
彼は自分の愛情を分け与えることに至福を感じるが、それを認めてもらいたがる虚栄心の持ち主で、華麗なる孔雀はその表れでもある。
全体的に能動的な絵柄でありながらも、カップの騎士が持つ根本的な性質は受動的である。
このカードの人物像は、文学と芸術を愛する優美な男性で、温厚で控えめである。
情緒が豊かなため、ロマンスの刺激にはすぐに反応し、熱狂的になりやすい。しかし、感情に素直で意思は弱く、その熱狂は長続きしない傾向がある。
また、水と火は相反した元素であり、それによって生じる心の葛藤により、精神的病の原因となり得る。
対応する易の掛は、「54、雷沢帰妹」。
掛辞「進めば凶。良いことはない。」
帰妹とは、若い娘が嫁ぐこととされ、若い女性の方から積極的に年上の男性のもとに押しかけることを指し、物事の間違った状態を示す。
キーワード:
芸術家・ロマンチスト・華麗な若い男性・積極的に愛情表現する・求愛する
媚びを売る・見返りを求める・恩着せがましい・熱狂的・飽き性
etc・・・
「カップの女王(Queen of Cups)」の意味・解説 <トート・タロット>
エレメント:水の宮の水
占星術:双子座21度〜蟹座20度
生命の樹:ビナー(理解)
「水の宮の水」を象徴するカップの女王は、どこまでも受容的だ。良く言えば包容力があり、悪く言えば自分がない。
左手に抱えている巻貝の形をした杯からは、巨蟹宮の象徴であるザリガニが現れている。そして、垂れ下がった右手で、無限の母なる愛情を示す「イシスの蓮」を持ち、同じく母性愛を意味するトキに触れている。
彼女の姿は、無限に屈曲した光のベールにより隠されており、その表情をうかがい知ることはできない。そして、彼女の本当の姿や、その本心を読み取る事は非常に難しい。
彼女はまるで鏡のように、向き合うものの性質を完全に反射し、かつ反映させるのだ。
対応する易の掛は、「58、兌為沢」。
掛辞「願いごとは叶う。ただし正しい道を守り続けた場合にのみ利を得られる。」
沢がふたつ重なり、笑い声が溢れる楽しい雰囲気を表す一方で、口の災いの多いことをも意味する。盟友が集って切磋琢磨し、共に向上の道を目指すのが良い。
キーワード:
自分がない・母性的・包容力がある・共感・性格が見極めにくい・相手の影響を受けにくい・空気を読む
etc・・・